You are currently browsing the tag archive for the ‘チベット’ tag.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ANCIENTTASSODZIBLSP

 

TAMIK5lukmik

Please ask for more infomation

チベット・ヒマラヤ圏で、あらゆる宝石をしのぐ価値のある宝珠 dzi  beads(ズィ・ジー・天珠)。

 

チベットでは、天界の神々から祝福され、持ち主に強力な加護を与えると信じられています。


上の画像は、チベット文化圏で受け継がれてきた古いオリジナルのズィ(ancient dZi beads/老天珠)。新しい珠が混ざっている可能性は0です。

ズィは、古から受け継がれる様々な、民間伝承の伝説に彩られ、曼荼羅モザイクのように入り組んでいます。

リン王国の英雄ケサル大王が、1000年以上も前にタジク/ペルシャ方面から、チベットに持ち帰った戦利品というのが、ズィに関する最初の言及だとか。又、地中を蠢く虫が、人間に見つかった時にズィに石化するという話や、神鳥ガルーダが落とした糞というのもチベットの有名なフォルクローです。

チベットでは、宗教上の理由で考古学的な発掘が禁止されてきた為に、十分な研究が行われていません。その為、いつどこで作られたのか、製法さえ未だはっきりしていません。The History of Beads巻末の年表によると、チベットに仏教が伝来した紀元後700年代に表示されていますが、コメンタリーを見るとDate unknownと書いてあります。ちなみに、最も価値のある9アイは仏教ではなく、ボン教の神聖な数であり、チベットでは仏教伝来以前のもっと古いボン教時代からdZiが存在すると広く信じられています。

最も価値があるとされる9アイは、1975年にネパールで44ヘクタールの土地と取引されたと聞いた事があります(バチカン市国程の大きさ)。9アイ以上の12アイが『The Gzi Beads of Tibet 』(下の画像・入手困難ですが、dZiに関して豊富な写真と説明がされている、コレクター向けの一冊です。)に載っていますが、ここまでくると、もはや雲の上の世界になってしまいますね。私の友人のチベット人ディーラーさん曰く、過去に一度だけ16アイをチベット本土で見たことがあるそうです。画像だけでも見てみたいものです。

どのズィも極めて貴重ですが、その中でも目にする機会が比較的あるものは、2アイやタッソーなどかもしれません。眼の数が多ければ多いほど市場評価が上がるわけではありません。1・3・5・7・9の奇数は、チベットでは特に縁起が良い数字とされています。例えば3アイは4、6よりも人気がある為、希少価値があり価格も等価、もしくはそれ以上の値段で取引される事もあります。5、7、9アイは言うまでもなく特に希少です。所有者はすでに富裕層に所属するでしょうし、市場には滅多に出回らないはずです。又、中国のチベット侵略に伴い1959年以降、多くのチベット人がインドやネパールなどの周辺国へ難民として逃れました。この時代にたくさんのチベット骨董やズィが海外へ流出しています。現在のチベット自治区では富裕層も拡大し、台湾や欧米に、当時失った骨董品を買い戻しに行く人もいると聞きました。

ここ数年の傾向として、ズィの暴騰ぶりが目立ちます。特に経済大国となった中国のコレクターによる買い漁りは深刻な価格の上昇を招いており、相場が高騰しています。大雑把な体感ですが、3ヶ月~半年~1年のサイクルで増加傾向にあると思います。例えば、9アイは15年前は150万円程度で買うことが出来ましたが、現在は6000万円ぐらいはしてしまいます。(勿論質によりけりですが)10年先の相場がどれぐらいになっているのかは誰にも分かりません。

どのような持ち主が、いつの時代身につけ、どれだけの人の手に渡ったか・・・今となっては知る術はありませんが、たくさんの謎に包まれた、様々な古代からのストーリーがあるはずです。想像やロマンの世界で楽しむ事が出来るのが老天珠のひとつの魅力かもしれません。

私の経験上チベット人は、オリジナルは気軽には見せてくれませんし、よほどの金銭的な問題を抱えていない限り手放しません。日常では台湾/中国製の現代物を身につけ、本物は正装する祭事以外は、こっそりしまってあるケースが多いようです。もちろん衣服の中に着ている人も居ます。残念ながら、本物を身につけて町を歩く事はリスクが高いようで、強盗事件も過去にあったと聞きました。現にこの画像を撮らせて頂いた時も、こちらの事を良く知ってくれるまで、ズィを持っているとは教えてくれませんでしたし、信頼を得て初めて家に招いてくれました。人々の間で注目を避けるという意味でも、内密にしたいのかもしれません。

※上の画像 チベット亡命政府があるダラムサラのメンツィーカン(チベット医学の病院)に展示されているズィ。通常の医学では治せない重い病気にかかった時に金、銀、真珠と調合した特別な薬が用いられます。現在は折れた珠からも削られ使用されますが、ズィが豊富にあった昔は、損傷の無い珠のみから削りとられたそうです。

1990年代からありとあらゆる種類、品質の天珠が、台湾/中国の工場で作られ続けています。そのバリエーションは把握出来ないほど多種多様です。

上の画像は、チベット~ヒマラヤ圏の市場で7年~10年程前に出回っていたノーマルクオリティの現代の台湾/中国製です。瑪瑙はブラジル産と思われます。ちなみに天珠とは、その名の通り、天からの珠、dZiを表した台湾生まれの現代の造語です。非常に高価な老天珠に比べ、手ごろな価格で入手できる為、広く受け入れられていますが、年代を偽った取引が多く行われているのも事実です。

今でこそ現代物は、チベット文化圏で認知されていますが、その存在さえ知られていなかった1990年代頃、たくさんの人が騙され財産を失っています。初期のものは手間隙かけられた本物そっくりな物で、意図的かそうでないにしろ、老天珠として出回っていました。騙された本人が損失を補う為に別の人を騙す、プロのディーラーでさえ鑑定に手を焼く、そういった混乱した市場でした。(現代物コピーがラサの銀行融資の担保に使われていたと言うから驚きです。)

下の画像のサコナムコは1990年代に作られた台湾製。感服してしまう程の出来栄えです。ルーペで覗くと本物のブラッドスポットがありました。

又、ズィには、老天珠程古くはないが新品でもないといった、曖昧な中間の年代のものは存在しません。

オリジナルの老天珠か、数十年以内の台湾/中国製の現代物かのふたつにひとつです。100年、200年、500年といった半端な年代のズィを見かけるようになったのは、台湾/中国製が、市場に現れ始めた1990年代からで、1970、80年代にはそういったうたい文句の珠はありませんでした。コレクターは注意が必要なポイントです。

※後世に作られたイミテーションの特殊な例外として、チェコ、(イタリアも!?)インドが、ガラス、骨、樹脂、セラミックで模したアンティークのもの、ドイツのイダーオーベルシュタインが作った瑪瑙製のもの、画像下の19世紀頃の中国清朝期のものがあります。ヒマラヤの、とあるチベタンが持っていたイミテーション9アイ。叔母の代から受け継がれてきたきたものだそうで、この方が子供の時に落として割ってしまったそうです。サーペンティン、もしくはその仲間の石だと思われます。

※上画像はチベット-ネパール国境付近のチベタンが身につけていた、説得力のある現代の台湾/中国製9アイ。コーラルと一緒に身につけるのが伝統的なチベタンスタイルです。チベタンが身につけているというだけでいかにも本物と錯覚してしまい、騙されてしまう初心者も多々います。目利きは一朝一夕には育ちません。今でこそ笑い話ですが、かく言う私も目利きが出来るまでにはいくつかの苦い思い出はあります。

チベット文化圏以外でも、今やどこへ行っても見かけるようになりました。94年の中華航空墜落事故の生存者がズィを身につけていた、という話はあまりにも有名です。世界規模のブームを引き起こしたひとつのきっかけとなったと言えるかも知れません。又、不思議な事に、二眼天珠は、夫婦家庭円満、愛情運アップetc、又は○○の紋様がある珠は○○の効能がある、ご利益がある、といった風水系の具体的な話はよく見かけますが、チベタンの間で一度も聞いた事もありませんし、西洋側のズィ研究にも一切出てきません。これらは西蔵天珠ブームを作り上げた、商才豊かな華僑のマーケティング戦略によるものでしょう。チベットのズィと台湾/中国の天珠とでは、情報の発信元がそもそも違うので、食い違いがあるのも当然と言えます。

ズィが何であるか容易に説明する事は出来ませんし、各人各様のストーリーと見解があるでしょう。ここでは現地で探し周った経験のある一介のコレクターとして、自分の体験を元に少しだけ書いてみました。※膨大なテーマですので、至らない部分はたくさんあるかと思います。必用に応じ都度加筆編集します。

標高4000m以上の過酷な自然環境から身を守る為に、チベットでは『お守り』の存在がとりわけ重要視されてきました。

トクチャとは、チベット語で、天空から降ってきた『金属』を意味します。稲妻、雷と関係が深いとされ雷光の金属と訳される事もあります。(英語では『thunderstorm』『thunderbolt』『sky metal』『『celestial metal』等訳されています。 )

トクチャは人が作った人工物ではなく、神々が天空から落とした天界の贈り物とチベットでは信じられています。

はるか昔に遡る起源を持つこの金属片は、dZi beads同様に、数々の民間伝承の伝説や物語に溢れているため、未だに多くの謎に包まれたままです。

ある説ではトクチャは、天界に住む龍の口から地上に落とされたものと言われています。又、落雷と雨で濡れた大地が融合してトクチャが生じたと信じる人もいます。抗争中のンガクパ(魔法使い)達が召喚した雹が空を切り裂きそれが結晶化し、トクチャになったと信じている人もいるようです。又、雷が落ちた場所に行ってみたらトクチャが転がっていたという証言もあります。

ムスタンの僧院に伝わるトクチャに関するチベットの伝説をひとつ

『秋、冬、夏 の季節になると地表の汚れを天空に巻き上げ、仏法を守護する8神(八部衆)に危害を加える 一つ足の幽鬼 の伝説がチベットにはあります。春になると、これらの幽鬼達をこらしめるため、守護神達は空から稲妻、雹(ひょう)、トクチャ(雷光の金属)を地上に放出し、幽鬼達を灼熱の炎によって焼き殺ろすといわれています。突然、稲妻に打たれてしまう一つ足の幽鬼の伝説はここからきています。トクチャとは人間の人工物ではなく、仏法を守護する8神(八部衆)の所有物でありとても珍しい物なのです。 』

*仏法を守護する8神 八部衆

1 天(Deva) – 梵天、帝釈天をはじめとする、いわゆる「天部」の神格の総称と解釈されている。
2 竜(Naga) – 「竜」、「竜王」などと称される種族の総称と解釈されている。 蛇を神格化したもので、水中に棲み、雲や雨をもたらすとされる。また、釈尊の誕生の際、灌水したのも竜王であった。
3 夜叉(Yaksa) – 古代インドの悪鬼の類を指すが、仏法に帰依して護法神となったもの。
4 乾闥婆(Gandharva) – 香を食べるとされ、神々の酒ソーマの守り神とも言う。 仏教では帝釈天の眷属の音楽神とされている。
5 阿修羅(Asura) – 古代インドの戦闘神であるが、中央アジア、イラン方面の太陽神が起源とも言われる。通常、三面六臂に表わす。
6 迦楼羅(Garuda) – 金翅鳥(こんじちょう)とも言い、竜を好んで常食するという伝説上の鳥である。
7 緊那羅(Kimnara) – 音楽神であり、また、半身半獣の人非人ともいう。仏教では乾闥婆と同様に帝釈天の眷属とされ、美しい声で歌うという。
8 摩睺羅伽(Mahoraga) – 大蛇(ニシキヘビとも)を神格化したもの。緊那羅とともに帝釈天の眷属の音楽神ともいう。

トクチャは基本的には1cmから8cm(中にはそれ以上)の大きさで、多種多様なアミュレット型(お守り)デザインとして見つかります。又、古戦で使われた槍や弓の鏃や鎧の一部、スプーンや鏡(メロン)、ボタン、ベルトのバックルなどもトクチャと見なされています。仏教のシンボリズムを使ったモチーフが多いため、大部分はチベットに仏教が伝わった7世紀以降から15世紀頃のものと考えられていますが、ボン教や周辺の中央アジア、インドや古代ステップのアニミズム信仰の影響を強く残すトクチャも存在するため、仏教伝来以前の物も確認されています。

トクチャは、雹や雷、雪崩などの自然災害、悪霊や野生の動物、弓や弾丸から身を守る強力な護符力が宿るとされ、持ち主に治癒力や幸運を授ける『お守り』として大切に身に付けられてきました。時には十世代も遡り、親から子へ、高僧から弟子へと代々受け継がれます。そうでないものは、何百年という時を経て放牧や田を耕している時に偶然発見されるとの事です。又、チベットの古い伝統では、9つないし13個トクチャを持つ事が最大の吉兆と信じられています。

オックスフォード大学の研究結果によれば、ニッケル、亜鉛、鉄、錫、鉛、金、銀、銅、蒼鉛、アンチモン、硫黄などの物質でトクチャが構成されているそうです。
伝承では、チベット高原に降ってきた隕鉄(ナムチャック)が含まれるトクチャも存在するそうです。古の人々は隕鉄を天からもたされた物質として精錬し、道具として使っていたのでその可能性はありますが、具体的な研究はまだ行われていないようです。

又、チベット以外のチベット文化圏であるネパールや北インド、ブータン、シッキム、モンゴルでもトクチャは見つかっています。

チベット亡命政府があるダラムサラのメンツィーカン(チベット医学の病院)には薬草や鉱物、dZi、天然石と並んでトクチャが展示されています。てんかん、麻痺、失神に効能があると書いてあります。様々な金属のミネラルを肌から吸収するので、人体に良い影響があるはずですが、どうやら煎じて飲むようで、味はastringent(渋い)とあります。

古いトクチャがディスプレイされたショーケースの中身。中国製のdZiやカウンター、トクチャとは分類されないプルバや別の金属片、レプリカトクチャも数点混ぎれこんでいます。プロが見てもわかりにくいほど精巧な作りのトクチャが近年たくさん作られているので、購入の際には注意が必要です。